2020/06/28

またもや大連立

元に戻るのか?

 日本でも既に大きく報道されている通り、アイルランドの政権がようやく成立しました。

 国民に一旦は否定されたはずのフィァナ・フォイル(Fianna Fáil,FF)+フィナ・ゲール(Fine Gael,FG)連立が復活し、それに緑の党(Green Party,GP)が加わりました。

 2月の総選挙で得票率が第1位だったシン・フェイン(Sinn Féin,SF)は議席数では2位で、結局は議席数第1位のFFを中心に、再び"大連立"が形成されたということです。
 4か月かかって、この結果・・・国民は何と思うでしょう?

 基本的にはSF外しで、旧態然とした2大政党に進歩的なGPを加え、なんとか新規性を装ったということではないでしょうか。

 日本で言えば自民党+旧民主党+少数の進歩党みたいで、期待の持ちようがないというものでしょう。

 英国のEU離脱を受け、北アイルランドとの関係をどうするのかなど、課題山積ですが、今はその前に、どの国でもそうであるように新型コロナウィルス(COVID-19)対策が優先されるのかもしれません。
 首相(Taoiseach)に就任したFFのミホール・マーティン(Micheál Martin)の手腕が試されます。
 どこまでやれるか。

 とりあえず一件落着・・・とはいかなさそうです。

2020/05/11

悪乗り

誰のため?何のため?

 世の中の混乱に乗じて私欲、利権が渦巻くことがあります。
 「火事場泥棒」などということばもあります。
 新型コロナウィルスを巡っても例外ではありません。どんなことがあるか、チョット考えてみました。

1)〔米国〕大統領選挙戦略
 トランプ大統領のことです。
 自らの失政を中国のせいにし、中国叩きで自分の優勢をアピールしようとしています。
 私も、中国の初期対応はまずかったと思いますし、WHOにしても、素人的にも目に見えていたパンデミック宣言を、なにを血迷ったか遅れ遅れにしてしまいました。
 これらは、今回の事態が一段落したら改めて厳しく検証する必要があるでしょうし、WHOは中国に調査に入るようで、中国もこれを受け入れるとしています。
 ただ、トランプに関して言えば、今それを言うか?やるか? 誰のため? という思いは多くの人が持つでしょう。
・・・まさにトランプ自らの失政を隠蔽するためでしょう。

2)〔日本〕憲法改正
 内閣総理大臣安倍晋三の信念であり"悲願"でもある憲法改正を混乱に乗じて実行しようということです。
 私は憲法を変えてはいけないと思ってはいませんし、憲法のどこにも「変えてはいけない」とは書いてありません。それどころか、改正の手続きが示されています。時代に合わせ、変えた方がよい部分は変えていけばよいと思います。もちろん、改正の必要がなければこのままでよいでしょう。
 一方、変えること自体を目的化してしまっている人がいます。安倍晋三もその一人です。
 もちろん、政治家たる者、自分の信念を持つことは当然で、そのこと自体が悪であるとは全く思いません。
 ただし、彼の視点、主張は「政権の独裁化」と軍備による「強い日本」作りです。もっと言えば、大日本帝国憲法への回帰です。
 今回、緊急事態宣言を出しておきながら、敢えて"自粛要請"に強制力を持たせず、否、持たせないように振る舞い、「憲法が許してくれないので強制できない」と言って憲法を変えるのです。"本丸"である第9条に手を付ける前に、国民の理解が得られ易い緊急事態条項を盛り込もうとしているのです。
 そもそも市民行動の管理は自民党の憲法改正案にもあり、突然言い出されたわけではないのですが、今回の事態を踏み台にし、国民の"理解"を得ようと企んでいるのでしょう。
 行動制限など、憲法を変えず、現在の法体系の中でできることと法曹界の人たちは言っています。
 騙されてはいけません。
 緊急事態条項の次に来るのは第9条の改正(=軍拡)です。

3)〔日本〕マイナンバーカードの普及
 マイナンバーカード構想は悪夢のような、否、悪夢そのものだった旧民主党政権下で出されたもので、地域の小売店を苦しめる大型スーパーに深く関わる岡田克也は推進役の代表みたいなものです。
 それはそうとして、マイナンバーカードは権力者が国民一人一人を監視する材料に使えますし、旧民主党はそうしたくて出してきました。立憲民主党でも国民民主党でも本質は旧民主党と変わりません。現在の政権党である自民党も「しめた」とばかり受け継いでいます。政権が他党に代わっても、権力者というのはそうしたものです。
 「このマイナンバーカードを使えば10万円の給付金が早く手に入るよ。」と言って国民をたぶらかし、一挙にマイナンバーカードを普及させようとしていますし、今度はマイナンバー通知カードをなくし、マイナンバーカードなしでは物事がうまく進まないように制度を変えようとしています。
 私もマイナンバーカードは便利であることは認めますが、それと引き換えに国家権力に自分を売り渡すようなことはしたくありません。
 個人情報の扱いは煩雑である方がよいと思います。

4)〔日本〕旅行券等
 新型コロナ対策として出された100兆円を越える予算ですが、その時点で必要な政策を積み上げたわけではありません。とりあえず予算を計上しておき(予算取り)、各省庁に「何に使うかアイデアを出して。(いわゆる"タマ出し")」と呼びかけるだけです。いつものように。
 そんな中で観光庁から出てきた「観光予算」です。
 こんなひも付き補助は誰が欲するでしょうか。
 ほしいのは現金です。それを何に使おうと個人の自由です。新型コロナ禍によって失われたものは個人によって違いますから。
 旅行業界と手を組んだ有力国会議員はいませんか?
 100兆円あれば、すぐにできることがあります。新型コロナ禍で困窮している人への直接の支援です。それは「経済政策」ではなく、「社会保障」でしょう。
 "旅行券"だけではありません。コロナにかこつけた摩訶不思議な政策があの省、この庁から出てきますよ。
 

5)〔日本〕9月入学
 以前から特にヨーロッパ等に合わせ、入学を9月にしようという考えはありました。確かに、"世界基準"と言うなら、一考の余地はあります。
 ただ、そのためには社会の諸制度との調整が必要です。
 導入するにしても、混乱している今でなくてよいでしょう。
 知事会の人の中には9月入学制を主張する人もいますが、知事は都道府県の代表ですから、その地方の意見を代表すべきで、自分の考えを唐突に言うべきではありません。(学校の9月入学を政策に置いて選挙を行い当選したのならまだ許せますが。)
 さらに、教育については教育者の意見を聴くのは必須です。
 ただ、安倍晋三は学者、研究者等の"知識人"が大嫌いですからね。
 
 ついでにというか、ドサクサに紛れ、国家公務員の定年延長と検事総長の定年延長を混ぜこぜにする話も出てきました。

 不要不急の行動の「自粛」を求めるなら、自らも不要不急の行為を制し、今とりくむべきは何かを真剣に考えるべき時ではないでしょうか。

2020/04/05

どちらを向いているか

緊急事態宣言はいつ?

 今日、東京で新型コロナウィルス感染者の発生が130件を越え、1日の患者数としては過去最多となりました。
 今や緊急事態宣言を出すか出さないかではなく、もはや「いつ出すか」という段階にあるのではないでしょうか。

 政府の専門家会議では既に早く緊急事態宣言を出すよう提言しています。日本医師会も「スピード感を持って」と言っています。

 なのに安倍首相は未だにためらっているようです。
 なぜなのでしょう?

 安倍首相の最大のブレインは経済産業省(経産省)出身の補佐官といわれています。国民の健康や働きに関わる政策を実行する厚生労働省ではなく、経産省です。
 経産省は言うまでもなく、「企業の味方」です。国民の健康より産業の停滞を恐れる経産省べったりの安倍晋三ですから、企業からの批判を恐れているのではないでしょうか。

 しかし、もし出すとなったら、これまでもそうであったように、思いつきで突っ走ってしまうかもしれません。

 私たちとしては、今のうちに何があっても困らないように準備しておいた方がよいかもしれません。

2020/03/25

決めるのは誰?

シナリオ崩壊

 新型コロナウィルスの影響で東京オリンピック/パラリンピック(オリパラ)の開催が1年程度延期になりました。

 2月上旬頃から予定通りにはできないということが、恐らくはIOCとその周辺では話題になっていたようですが、中止はなかなか難しく、2年程度の延期という線で動いていたと私は聞いていました。

 しかし、昨日の安倍晋三首相とIOCのバッハ会長との電話会談で、1年程度の延期になったようです。

 IOCとして最も簡単な解決法は単純な中止だったのではないかと思います。もちろん損失は出ますが、大方は保険でカバーされますし、なんといっても、細かい調整が不要です。

 中止では選手を始め世論の納得を得るのは難しいでしょうから、延期が現実的だったのは事実だと思います。そして、試合会場の調整などを考えれば(来年は多くの競技、国際大会等の日程が押さえられているでしょうから)2年程度が妥当ではなかったのではないかと思いますし、どうもIOCはその線で動き始めていたようです。

 しかし、それでは日本の総理大臣安倍晋三が納得しません。理由は簡単です。自分の任期中にオリンピックが開けないからです。

 それにしても、IOCの日程を決めるのは政治家でしょうか?

 もし、オリパラではなくサッカーワールドカップだったらどうでしょうか?
 FIFAは政治の介入を嫌います。安倍晋三に口出しはできたでしょうか?

 政治家は(もちろん安倍にしても)新型コロナウィルスの影響について真剣に判断し、発信し、それを基に東京オリパラの組織委員会、その上部団体のIOCが決めるのが筋ではないでしょうか。

 マスコミも含め、「選手のためには・・・」という論調もありますが、IOCや日本の政治家が選手のためなど考えるはずがありません。全ては経済(=カネ)のためです。選手の皆さんには申し訳ありませんが、選手のことを考えるのは真剣にスポーツを極める人たちと善良な市井の人たちだけです。残念ながら。

 今回など、オリパラの政治利用・・・まさにそれそのものです。

 もし、これが安倍晋三の業績となり、安倍首相の4選となれば、安倍にとっては「災い転じて福となす」かもしれませんが、私の見方は「災い乗じて大災害」です。

 翻って、サッカー界に転じてみると、来年6月~7月は延期されたUEFAユーロ2020(→2021)が行われます。ヨーロッパ諸国のナショナルチームの選手にとってみれば、ユーロと五輪(U-23)のどちらをとりたいでしょうか?常識的に考えれば、ヨーロッパの選手たちにとっての重要度はワールドカップ>ユーロ>>>五輪でしょう。

 サッカーファンとしてはそもそも興ざめな五輪です。

2020/02/27

どうなるオリパラ

驚くことではないが・・・

 私が第一報を得たのは2月15日のことでした。海外からです。
 「オリンピック/パラリンピックのロンドン代替開催の可能性について水面下で検討されている。」

 水面下? 何の水面下? 

 5日後の2月20日、5月に行われる英国ロンドン市長選挙立候補予定者2人から「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のため、もし東京でオリンピック/パラリンンピックを開催することが困難になった場合、ロンドンで代替開催する用意がある。」という発言があった旨、報道されました。

 「そうか、このことか。」と私は思いましたが、市長選候補予定者としても、何の根拠もなく、単なる思い付きでこのような発言をするはずがありません。しかも、2人ほぼ同時に。やはり「水面下の動き」はあったのでしょう。

 そして昨日(2月26日)、IOCの一委員が五輪中止の可能性について言及し、さらに今日(2月27日)になって1年延期案まで出てきています。

 日本では五輪担当相が「大会が開催できるよう準備に取り組んでいきたい。」と言ってます。

 そもそも欺瞞体質首相の安倍晋三が「(震災による放射能漏洩は)アンダーコントロールにある。」と大ウソをついて引っ張ってきた五輪ですし、私は「日本がそんなことやってる場合か?」と思っていましたが、一方、五輪を目指して日々努力しているアスリートたちのことを考えると、この場に及んで今更中止するのもなぁと情緒的共感も抱きます。

 それにしても、情報収集・処理・発信能力、外交・交渉能力に乏しい日本スポーツ界や日本政府のことを思うと、五輪のマラソン会場が札幌に変更された時のように、日本は理詰めの主張をするでもなく、ただただIOCの決定に従うことになるのでしょう。

 IOCの運営規程等で代替開催についてどう謳ってあるか、あるいは謳ってないかわかりませんし、IOCにしたって東京開催を敢えて変更したいと思うはずがありませんが、もしもの時でも"金づる"五輪を単純に中止はしたくはないでしょう。ですから、私はロンドンでの代替開催もありうるのではないかと思っています。「火のないところに煙はたたない」でしょう。
 いずれにせよ、「営利団体」IOCのことですから、選手のコンディションではなく、金銭的な損得を考えて決めるのでしょうが。

 もちろん、"万が一"の場合、次にどうするかを予め考えておくのはリスクマネジメントの基本です。
 「東京開催不可能」は完全に想定内です。

2020/02/11

どうするシン・フェイン

シン・フェイン大躍進
第1党は共和党(フィァナ・フォイル)

 アイルランド下院議員総選挙の全議席が確定し、結果は以下の通りです。(得票率順)

シン・フェイン(SF) 37(24.53%)
共和党(FF)     38(22.18%)
フィナ・ゲール(FG) 35(20.86%)
無所属・他(OT)    21(15.39%)
緑の党(GP)     12(7.13%)
労働党(LP)       6(4.38%)
社会民主党(SD)     6(2.90%)
(略)連帯(SPDP)   5(2.63%)

 議席は全部で160ですから、半数は80で、上位3党のうちどの2党の組み合わせでも過半数を達成できません。単独与党ではとても持ちませんから、どうしても連立、しかも3党以上の連立が必要です。

 これまでのFG+FFが否定された結果ですから、この組み合わせはないでしょう。

 ここで注目されるのは劇的な大勝という結果のSFの動きです。

 SFの議員の一部が選挙戦勝利の後アイルランド共和軍(IRA)を鼓舞する「Up the RA!」と叫ぶ一方、党内にはIRAを支持する呼びかけを停止しようとする動きもあります。また、SFがGPやLP、SDなど"左派"勢力に連立を呼び掛ける可能性もあります。

 ただ、私はSFがあわてて政権の中枢に座ることは避けた方がよいと思います。党内や国内、そしてイングランドに占領されている北アイルランドでは一挙にアイルランドと北アイルランドが統一する期待があるかもしれませんが、SFは政権運営の経験がありません。
 アイルランドにはかつて一部がテロリスト集団を作っていたアイルランド共和軍(IRA)の後ろ盾になってきたSFに対し嫌悪感を抱く国民もいるといいます。

 ずる賢いイングランド政府を相手にするには、"真っ向勝負"ではなく、これまで英国(≒イングランド)とのパイプを築いてきた第一党のFFに花を持たせ、FF+SF+GPといった中道左派政権の中で統一の道を作り、近い将来の北アイルド併合を目指した方がよいと思います。

 理想を達成するために現実に対応することも必要です。

 でもやはり、Tiocfaidh ár lá !(Our Day will come!)です。

 その動きはスコットランド再独立につながる可能性があります。

2020/02/10

アイルランド下院総選挙速報

Historic Day for Sinn Féin(RTÉ)

 2日連続でアイルランド下院議員総選挙の話題です。

 2月8日に行われたアイルランド下院議員選挙の開票が粛々とすすめられ、日本時間2月10日23時現在、160議席中102議席が確定しました。
 シン・フェイン(SF)が36議席で他党を引き離しています。
 政権党のフィナ・ゲール(FG)は19議席、閣外で連立的協力をしている共和党(フィァナ・フォイル)(FF)は21議席と苦戦しています。また、緑の党(GP)は7議席奪い、大躍進と言ってよいでしょう。

 残りは58議席ですが、単独過半数を制する政党はなく、どのような連立になるか、アイルランド国民ならずとも固唾をのんで見守っています。
 42名しか候補者を擁立していないSFが第一党になる可能性はなく、FFSFと連立を組む可能性が大きいと言えそうです。

 明日中には全容が判明するものと思われますが、連立政権樹立にはもう少し時間が必要かもしれません。

2020/02/09

現在開票中

3党混戦

 アイルランド下院の総選挙が2月8日に行われ、現在開票作業が行われています。
 アイルランドの公共放送RTÉと日刊紙アイリッシュ・タイムズが行った出口調査ではヴァラッカー首相率いるフィナ・ゲール(FF)がトップに立っているものの、その得票率は22.4%で、2位のシン・フェイン(SF)(22.3%)、続く共和党(フィアナ・フォイル)(FF)(22.2%)と差がないといってよいでしょう。
 更に、第4位には緑の党(GP)(7.9%)がつけていて、かつては連立政権与党でいたこともある労働党は見る影もなく衰退が顕著です。

 議席数は今後固まっていきますが、英国のEU離脱を受けて、北アイルランドの動きを見る上で極めて重要な選挙であり、その結果が待たれます。

 明日には全議席が確定すると思いますが、新内閣が固まるのには時間がかかるかもしれません。当面目が離せないアイルランド情勢です。