ジェームズを守れ ジャコバイトの反乱
2007年9月7日および9月17日の記事を併合し改変しました。スコットランドの思いを歌でたどります。
<スコットランドの独立>
前回に書いたように、1314年のバノックバーンの戦いでイングランド軍を撃退したスコットランドは1320年のアーブロース宣言を経て独立します。
その後、スコットランドの統治はブルース王家からステュアート王家へと移り、1567年に王位に就いたジェームズ6世は1603年からジェームズ1世としてイングランドをも統治しました。
国王は1625年、ジェームス6世からチャールズ1世に移り、1649年から1660年のクロムウェルによる一時的な共和制を経てチャールズ2世に受け継がれました。
<名誉革命からスコットランド-イングランドの統合へ>
1685年、国王はチャールズ2世からジェームズ7世(イングランドのジェームズ2世)にバトンタッチされましたが、1688年、ジェームズ7世の娘、メアリーと結婚したオランダ統領のウィリアム3世(プロテスタント)を王位につかせ、ジェームズ7世(カトリック)を追い出すという「名誉革命」が起きます。
1690年、ジェームズ7世軍とウィリアム3世率いるイングランド・オランダ連合軍がアイルランドのボイン川で戦闘を行いますが、圧倒的な兵力を誇るウィリアム軍が勝利します。
1702年に統治がアン王女に移ると1707年にはスコットランドがイングランドに併合されました。この年をもって、スコットランド議会は封印されるとともに、現代に至るまでスコットランドはイングランドの支配下に置かれることになります。300年前(2007年に書いた記事ですので。)のことでした。
1707年はスコットランドにとって屈辱の年です。
<ジャコバイトの反乱>
イングランドとスコットランドが併合し、大ブリテン王国(Kingdom of Great Britain)を作ってみたものの、イングランドがスコットランドにその恩恵を与えるはずがなく、スコットランドの「独立派」はジェームズを支持した運動をおこします。
彼らはジャコバイトと呼ばれ、特に1708年から1745年にかけて頻繁に蜂起します。
特に1745年のそれは、ジャコバイトの最後の抵抗でした。
フランスと手を組んだジャコバイトはジェームズ7世の孫、チャールズ・エドワード・ステュアート(Charles Edward Stewart)(チャールズ王子)を擁し、イングランドに挑みます。
彼らの一軍は1745年7月にスコットランド北部で蜂起し、9月17日にはエディンバラ(Edinburgh)、さらにイングランドのダービー(Derby)にまで攻め込みましたが、イングランド内での支持を得られず、結果として勝利することはできませんでした。
諦めないチャールズ王子は翌1746年4月、ネス湖近くのカローデン(Culloden)で政府軍に挑みます。カローデンの戦いです。
(Refrain)
Though the waves leap, soft shall ye sleep
チャールズ王子はその後フランスへ渡り結婚もしますが、アルコール依存症になり、晩年は惨めだったようです。
彼らの一軍は1745年7月にスコットランド北部で蜂起し、9月17日にはエディンバラ(Edinburgh)、さらにイングランドのダービー(Derby)にまで攻め込みましたが、イングランド内での支持を得られず、結果として勝利することはできませんでした。
諦めないチャールズ王子は翌1746年4月、ネス湖近くのカローデン(Culloden)で政府軍に挑みます。カローデンの戦いです。
しかし、この時になると、正に多勢に無勢でした。
カンバーランド公爵(Duke of Cumberland=Augustus)率いる政府軍の半分以下の兵力では勝てるわけがなく、戦いは短時間(1時間とも言われています。)で終わり、王子軍は惨敗します。
この後、ハイランドではキルトとタータンを身につけることや氏族(クラン)が集うことが禁止されます。
ステュアート家の終焉でした。
<スカイ・ボート・ソング>
チャールズ王子はフローラ・マクドナルド(Flora MacDonald)という協力者を得て女装し、ベティー・バーク(Betty Burke)というフローラの召使いということにしてスコットランド西部のスカイ(Skye)島へ逃げます。端整な顔立ちの王子だったからできたのかもしれません。
ステュアート家の終焉でした。
<スカイ・ボート・ソング>
チャールズ王子はフローラ・マクドナルド(Flora MacDonald)という協力者を得て女装し、ベティー・バーク(Betty Burke)というフローラの召使いということにしてスコットランド西部のスカイ(Skye)島へ逃げます。端整な顔立ちの王子だったからできたのかもしれません。
その時の様子を歌ったのがスカイ・ボート・ソング(Skye Boat Song)です。
Skye Boat Song
(Refrain)
Speed bonnie boat, like a bird on the wing,
Skye Boat Song
(Refrain)
Speed bonnie boat, like a bird on the wing,
Onward, the sailors cry
Carry the lad that's born to be King
Over the sea to Skye.
Loud the winds howl, loud the waves roar,
Thunder clouds rend the air;
Baffled our foe's stand on the shore
Follow they will not dare.
Carry the lad that's born to be King
Over the sea to Skye.
Loud the winds howl, loud the waves roar,
Thunder clouds rend the air;
Baffled our foe's stand on the shore
Follow they will not dare.
(Refrain)
Though the waves leap, soft shall ye sleep
Ocean's a royal bed
Rocked in the deep, Flora will keep
Watch by your weary head
(Refrain)
Many's the lad fought on that day
Rocked in the deep, Flora will keep
Watch by your weary head
(Refrain)
Many's the lad fought on that day
Well the claymore Could wield
When the night came, silently lay
When the night came, silently lay
Dead on Culloden's field
(Refrain)
Burned are our homes, exile and death
(Refrain)
Burned are our homes, exile and death
Scatter the loyal men
Yet, e'er the sword cool in the sheath,
Charlie will come again.
(Refrain)
リフレインに出てくる「the lad that's born to be King 」はもちろんチャールズのことです。
リフレインに出てくる「the lad that's born to be King 」はもちろんチャールズのことです。
第2節の Flora はフローラ・マクドナルド、第4節のCharlie はチャールズの愛称です。
チャールズ王子はその後フランスへ渡り結婚もしますが、アルコール依存症になり、晩年は惨めだったようです。
67歳で亡くなる時はローマにいました。
<ロッホ・ロウモンド>
<ロッホ・ロウモンド>
チャールズが率いた兵士の一人は捕らわれの身となり、牢獄にとじこめられます。
この時、恋人を思い歌ったのがロッホ・ロウモンド(Loch Lomond)とも言われています。
(Lochの ch はエスペラントの ĥ、ドイツ語の ch 、スペイン語の j 、ロシア語の x と同じ発音です。)
ロッホ・ロウモンドの詩を載せておきます。ジャコバイトの無念さを偲びお聴きください。
スコットランド方言がたくさん使われていますので、対応する英語を書いておきました。
Loch Lomond loch: lake
By yon bonnie banks, and by yon bonnie braes, yon: the; bonnie: beautiful; brae: hill
By yon bonnie banks, and by yon bonnie braes, yon: the; bonnie: beautiful; brae: hill
Where the sun shines bright on Loch Lomond,
Where me and my true love were ever wont to gae, me: I; gae: go
On the bonnie, bonnie banks o' Loch Lomond. o': of
=Refrain=
Oh ye'll tak the high road and I'll tak the low road, ye: you; ye'll: you'll; tak: take
Oh ye'll tak the high road and I'll tak the low road, ye: you; ye'll: you'll; tak: take
And I'll be in Scotland afore ye; afore: before
But me and my true love will never meet again
On the bonnie, bonnie banks o' Loch Lomond.
'Twas then that we parted in yon shady glen glen: valley
On the steep, steep side o' Ben Lomond, ben: mountain
Where in purple hue the Hielan' hills we view, Hielan': Highland
And the moon coming out in the gloaming.
=Refrain=
The wee birdie sang and the wild flowers spring, wee: little, small
And in sunshine the waters are sleeping,
But the broken heart it kens nae second Spring again, ken: know* ; nae: not**
Tho' the waeful may cease frae their greeting. frae: from
=Refrain=
*ken-kent-kent:know-knew-known
**kens nae second Spring・・・:knows no second Spring・・・
**kens nae second Spring・・・:knows no second Spring・・・
【ポイント】スコットランド議会が停止された1707年はスコットランドにとって屈辱の年として歴史に刻まれることになった。(奇しくも300年後の2007年、スコットランド議会でスコットランド国民党が第1党になった。)
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