2014/09/13

どうなるスコットランド(2)700年前のできごと

イングランドの支配を断ち切る


2007年6月22日の記事の焼き直しです。一部、加筆、訂正しています。

13世紀の末、 スコットランドイングランドの支配下にあり、スコットランドの人々はイングランドと、イングランドと手を組んだ一部の領主の圧制に苦しめられていました。

1297年、伝説の英雄、ウィリアム・ウォレス(Sir William Wallece)はスコットランドの民衆を率い、イングランドに戦いを挑み、特に同年9月にはスターリング橋(Stirling Bridge)の戦いでイングランド軍を徹底的に痛めつけました。
しかし、次の年、フォルカーク(Falkirk)の戦いでイングランド軍に敗れます。

ウォレスの軍隊はその後もイングランドと戦い続けますが、14世紀に入った1305年、ウォレスは遂にイングランド軍に捕らえられ、八つ裂きの刑に処せられたのです。
それを描いた映画が「ブレーブハート」で、これについては後日触れようと思います。

それからもスコットランドはイングランドの支配に喘いでいました。
1306年、スコットランドの王位についたロバート・ザ・ブルース(Robert the Bruce)はイングランド王のエドワードⅠ世の軍に戦いを挑みましたが、大敗しました。
イングランド王は、この後、エドワードⅡ世へと代わります。

1314年6月、そのエドワードⅡ世が擁する、総勢2万人とも言われるイングランド大軍がスコットランドに攻め入り、小都市スターリング近郊にあるバノックバーン(Bannackburn)でスコットランド軍と対峙しました。(イングランド軍の勢力に関して、確たる証拠はないようです。)

6月23日には攻め込んだイングランド軍にスコットランド軍が背後から襲い掛かり(ブレーブハートに見られるウィリアム・ウォレスの戦い方と類似)優位に進めましたが、イングランド軍は数的優位な状況にあり、反撃しました。
スコットランドは援軍を送るとともに、全軍のフォーメーションを変え、左右のサイドを広げます。
イングランド軍はシステム変更にすぐには対応できず、中央が手薄になったと錯覚して突破を試みますが、スコットランド軍の両サイドは強力で、それを見たイングランド軍は一旦引き下がり、その日は両軍とも戦闘を終えました。
翌24日、スコットランド軍は槍部隊を主体にイングランド軍を待ちうけました。
イングランド軍は引いて守るスコットランド軍に多勢を持って一挙に襲い掛かりましたが、穴や障害物等に足を取られ、力が分散してしまいます。(これもブレーブハートのシーンと類似です。)
結局、イングランド軍は要人に戦死者や捕虜が出て、退却せざるをえなくなり、スコットランド軍の勝利で終了しました。
バノックバーンの戦い
1314年6月24日のことです。

この事件は、それまで教皇から破門されていたロバート・ザ・ブルースが、それを回復し、ブルースがスコットランドの国王であることを認知してもらう必要から行われた1320年アーブロース(Arbroath)宣言、そして、それに基づくスコットランドの独立へとつながったのです。

スコットランドの独立は1707年スコットランド-イングランド合併まで続きました。
18世紀後半になってこの出来事を歌ったのがロバート・バーンズで、Scots Wha' Hæ ( Scots Who Have )というタイトルで知られています。

Scots, wha' hæ wi' Wallace bled, ウォレスとともに血をながしたスコットランド人よ、 
Scots wham Bruce has aften led,   ブルースが指揮したスコットランド人よ、
Welcome tæ yer gory bed,                ようこそ血染めの床へ 
Or tæ Victorie !                                  すなわち勝利へ!                      

Now's the day, and now's the hour;      今はその日、今はその時
See the front o' battle lour,                   前戦を見よ  
See approach proud Edward's pow'r    誇り高きエドワードの権力に近づいて見よ
Chains and slaverie!                           鎖と奴隷を !

(wha'=who; hæ(hae)=have; wi'=with; wham=whom; aften=often; tæ(tae)=to; yer=your; Victorie=Victory; o'=of; pow'r=power; slaverie=slavery)



【ポイント】今からちょうど700年前、スコットランドはバノックバーンの戦いでイングランドに勝利し独立につなげた。2014年はスコットランドにとって「節目」の年である。

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