2017/06/09

ハングパーラメント

与党過半数獲得できず
英国総選挙

 ティリーザ・メイ首相がEU離脱を控えての解散に打って出た総選挙で、与党保守党は議席の過半数を獲得できず、前々回と同じ「宙吊り」状態になりました。また、野等第一党の労働党(LP)は党勢を回復してきています。前回初議席を得たショーヴィニスト(排他的民族主義者)集団の英国独立党(UKIP)は議席を失いました。(表)

 メイ首相は保守党を圧勝させ、EU離脱に向けた動きを加速させようとしていただけに、いわば、思惑が外れた形になりました。

 前回躍進したスコットランド国民党(SNP)はスコットランドでは第一党を保ったものの、サーモンド前党首、ロバートソン副党首が落選するなど大きく議席数を減らしました。保守党が健闘し、スコットランド独立の機運はやや後退したと言ってもよいでしょう。場合によってはスタージョン党首の責任が問われるかもしれません。現段階で、スタージョン党首は「スコットランドでは勝利した。」と言っています。

 ウェールズではEU離脱に反対するカムリ党(PC)が1議席伸ばし、潜在するウェールズ独立の動きを加速させる可能性があります。ただ、ウェールズではスコットランドほど独立機運が高まっているわけではなさそうです。

 北アイルランドでは民主統一党(DUP)とシン・フェイン(SF)が議席を二分する形になり、他には無所属が1議席を得ました。
 シン・フェインのゲリー・アダムス党首は、シン・フェインの議席が4から7に増えた結果を歓迎し、アイルランド政府に対し、EU離脱交渉に際し北アイルランドに特別な地位を確保するよう主張しています。英国のEU離脱は決まったことですが、シン・フェインは従前からEU離脱には否定的です。

 前々回保守党と連立を組んだ自由民主党(LDP)は前回に続き今回も連立することはないと言っていますので、第一党の保守党がどのような連立を組むのか注目されます。おそらくは政策が近く、EU離脱にも前向きな北アイルランドのDUP(10議席)と連立し、どうにか過半数を確保しようとすることが予想されます。(→実際にそうなるようです。)

表.英国総選挙各党獲得議席数
  before
2015 2015   2017
    
Con 307 331 318
Lab 258 232 262
SNP 6 56 35
LDP 57 8 12
DUP 8 8 10
SF 5 4 7
PC 3 3 4
GP 1 1 1
SDLP 3 3 0
UUP 0 2 0
UKIP 0 1 0
ALLN 1 0 0
OT 1 1 1

Con:保守党 / Conservatives

Lab:労働党 / Labour
SNP:スコットランド国民党 / Scottish National Party
LDP:自由民主党 / Liberal Democratic Party
DUP:民主統一党 / Democratic Unionist Party
SF:シン・フェイン / Sinn Féin
PC:カムリ(ウェールズ)党 / Plaid Cymru
GP:緑の党 / Green Party
SDLP:社会民主労働党 / Social Democratic & Labour Party
UUP:アルスター統一党 / Ulster Unionist Party
UKIP:英国独立党 / United Kingdom Independent Party
ALLN:同盟党 /  Alliance Party
OT:その他 / Others
太字は地域政党

 ここ当分目が離せない英国情勢です。

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