2011/03/07

ヴェルダ・マーヨ /Verda Majo

あらしの中のささやき

私の手許に95Portraits 先駆者たちの肖像 明日を拓いた女性たち(鈴木裕子監修,ドメス出版,東京,1994)という書籍があります。まだ女性の地位が低かった時代、社会に大きな影響を与えた95人の女性たちの、まさに肖像が描かれています。
その中に長谷川テルが収められています。

先駆者たちの肖像(ドメス出版,東京,1994)より

長谷川テルは日本のエスペランティストの間ではよく知られた女性で、本名は長谷川照子です。99年前の3月7日、山梨県で生まれました。
「望郷の星」というタイトルでテレビドラマ(ドキュメンタリー)化されたこともあるので、エスペランティストでない方でもご存じかもしれません。

テルは現在の奈良女子大学に入学しましたが、学生時代にエスペラントを学んだためか「思想問題」で退学の憂き目に会いました。

その後、タイピストなどとして働いていましたが、24歳でエスペラントを通じて知り合った中国人と結婚し、25歳の時、中国へ渡りました。中国では一時「敵国人」として迫害を受けましたが、夫や支持者達の支援で中国で働くことができるようになりました。

中国では放送を通じて日本人、日本の軍人に向けた反戦運動を展開します。
彼女は呼びかけます。「この戦争は聖戦ではない。敵は海の向こうの中国にではなく、日本にいるのだ。
筆名はVerda Majo(ヴェルダ・マーヨ=緑の五月)で、日本では特に当時の都新聞(現、東京新聞<中日新聞)によって「嬌声売国奴」とまでののしられました。

ぞうど売国奴とお呼びください。私は決して恐れません。
日本を愛すればこその放送でした。

侵略を繰り返した軍国主義日本は結局「敗戦」という形で第二次世界大戦を終えました。

彼女の行動は国家権力に従うこと、国家権力を支持することが本当の愛国心を意味するわけではないことを教えてくれます。

自分の国を冷静に見、他国を冷静に見、冷静に判断すること。国を愛するというのはそういうことから始まるものかもしれません。

彼女については来年の同じ時期に生誕100年ということでもう少し詳しく書こうと思います。

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